アンズの育て方

アンズの実は生食以外にも、干しアンズやジャムに加工することができます。そのため、家庭で果樹として育てて、楽しみたい方も多いでしょう。アンズは暑さに弱い木なので、植え付け地域に注意が必要です。アンズの特徴や育て方を紹介します。

アンズの特徴

【別名】カラモモ
【科/属】バラ科サクラ属
【樹高】5~10m
【種類】落葉高木
【樹形】1本立ち
【花期】3月下旬~4月上旬
【花色】白、ピンク
【葉形】卵形
【使い方】庭木、果樹
【耐陰性】なし
耐寒性】強い
【名前の由来】由来は不明だが、「大和本草」に杏子という言葉が出てくることから、古くからアンズと呼ばれているようです。

アンズは、中国東北地方が原産地の、落葉高木です。日本でよく栽培されているのは東亜系のものです。アンズは地中海沿岸地方で改良された欧州系もあります。

アンズは梅の近縁種のため、花もよく似ています。果樹としての歴史は古く、薬用として用いられてきました。

アンズ
アンズの花は、3月下旬~4月上旬に開花します。葉が出る前に白やピンク色の花が咲くのが特徴で、花びらは5枚です。ウメとの雑種もあります。アンズは花つきがよく、香りがよいのが特徴です。

アンズ
アンズの葉は、先がとがった卵形です。落葉樹のため、秋になると葉が落ちます。秋になると葉が黄色から赤色に変わり、紅葉も楽しめる品種です。

アンズ
アンズの実は、甘くてジューシーなのが特徴です。実がなるのは6月~7月までで、干しアンズに加工する場合は完熟前に収穫して陰干しします。

アンズの実は生食できるほか、ジャムや果実酒にも加工できます。

樹高

アンズの樹高は、5m~10mでやや高くなります。アンズは樹勢が強く枝がよく伸びるので、剪定しながら仕立てていきましょう。大枝を切りとり適度な樹高に保つことができます。

種類

アンズ
アンズは、いくつかの種類があります。大輪の花が咲く「平和号」や、ジャムに加工しやすい「新潟大実」などです。

「信州大実」は国産種ですが、セイヨウ種の血も入っているので、生食と干しアンズの両方に使えます。栽培も優しいので、おすすめの品種です。

欧州系のアンズには「ゴールドコット」や「チルトン」などの品種があります。

アンズの基礎知識

アンズ

アンズの花言葉は?

アンズの花言葉は、「乙女のはにかみ」「臆病な愛」「疑い」などです。

アンズの実はジャム作りにおすすめ

アンズ
アンズの実がたくさん収穫できるようになったら、保存が可能なジャムに加工しましょう。アンズの実に対し砂糖は30~40%の割合で加えます。灰汁が出るので丁寧にすくい取り、熱湯消毒した清潔な瓶に詰めてください。

アンズとウメの見分け方は?

アンズとウメは近縁種のため、花も木の姿もよく似ています。品種はどちらも「バラ科サクラ属」です。

ウメの花は1月~3月までで早いのに対し、アンズの花は3月~4月で遅いです。ウメもアンズもどちらも花が咲くときに葉が出ません。アンズの花は花びらが反り返るのが特徴です。

アンズを種から育てる方法

アンズは種からも増やすことができます。お店にアンズの果物が出回るようになったら購入して、種を取り出し土に植え付けてみましょう。

アンズの果肉をよく取り除いて洗い、乾かさないようにして土に植えます。乾くと発芽率が下がるので注意が必要です。発芽には数ヶ月かかるので根気よく管理します。

アンズの育て方

アンズ
アンズはスモモより寒冷地向きの品種です。夏の暑さには弱く、夏の夜に肌寒くなる程度の地域で栽培します。

雨が少なく夏の暑さが厳しくない東北地方などに向く果樹です。暖地の場合は、冬の寒さが得られる場所を選びましょう。

アンズの実は雨に当たると割れやすいので、雨よけができる場所が適しています。

剪定

アンズは放任すると枝が伸びて混みあってくるので、日当たりと風通しをよくするために剪定が必要です。剪定時期は、11月下旬~2月が適期です。遅くても梅雨明け前までに剪定するようにしましょう。

長く伸びた枝は、開花前に1/3まで切り詰めます。アンズの花芽は短枝につくので、前年に伸びた枝を短く切り詰め、新しい短枝を出させます。

害虫や病気

アンズは、果実に黒星病が出ることがあります。幹にはコスカシバの幼虫、アブラムシ、カイガラムシなどの被害が発生することがあります。

肥料

アンズ
アンズは、根付いてしまえばあまり肥料を必要しません。

増やし方

アンズは接ぎ木や芽接ぎをして増やします。種から育てると実がなるまで時間がかかるので、種から育てたアンズの台木を使って増やしましょう。

移植や植え替え

アンズは鉢植えでも栽培が可能なので、2~3年に一度植え替えしましょう。植え替えに適しているのは、冬の休眠期が最適です。

アンズの入手方法

アンズ

値段

アンズのポット苗は、1,000円台から売られています。

販売先

アンズは東北地方でよく栽培されているので、これらの地域のホームセンターや園芸店で探してみましょう。近くのお店で苗木が出回らない地域では、ネットショップの活用がおすすめです。

苗木

アンズの苗木を入手したら、冬の休眠期に植え付けます。寒い地方では春に植え付けしましょう。

杏子は自家結実する品種が多いので、1本でも実を付けることができます。1本で実がつかない品種の場合は、近くに他品種か桃の木が必要です。

盆栽

アンズを小さく管理したい場合は、盆栽で育ててみましょう。ポット苗は地植え用のものが多いので、種から発芽させて盆栽に仕立てるとよいです。盆栽でも花や実がつきます。

鉢植え

アンズは通常地植えで育てますが、鉢植えでの栽培もできます。鉢植えする場合は、7号~8号の鉢に植え付けましょう。

鉢に植え付けたアンズは、枝を3~5本ぐらい残してあとは剪定します。植え付け後1年芽で枝数が増えてくるので、内側に向かって伸びている枝や、並行して伸びる枝、細い枝を剪定します。

3本の枝に調節する場合は、長さや太さが均一のものを3本残します。それぞれの枝が90度の角度で保てるよう枝を選びましょう。3本の枝は支柱を立てて60度に誘引します。

冬季に枝を1/3まで切り詰め、2年目も同様に仕立てます。3年目になり実がなるようになったら10個残して、太らせるようにしましょう。

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まとめ

毎年初夏になると出回るアンズは、生食すると美味しいです。そのため、アンズを庭木として育てて、家庭で収穫して食べたいと考えている方もいるでしょう。アンズはやや寒い地域に向いている果樹なので、夏の暑さが強い地域では管理に注意してください。