シャクナゲ育て方
シャクナゲは日本に自生しているもの、ヨーロッパやアメリカで見られるものなど種類が豊富です。庭木として育てるなら、適した品種を選びましょう。シャクナゲの開花時期や挿し木のやり方も一緒に解説していきます。
シャクナゲの特徴
シャクナゲはツツジ科ツツジ属の低木の植物です。世界各国でもシャクナゲの品種が自生しており、中国北部のものや北米で自生するものなどがあります。
日本で植える場合は、住んでいる地域の気候を考えながら品種を選びましょう。北米で自生するシャクナゲは、日本の気候ともよく似ているので、これらを原産とする品種なら低地でも育てやすいでしょう。
石楠花の由来
中国で石楠花は「石南」や「石楠」と書きます。「石南」のシャクナゲは日本産の品種とは異なるものです。
花
日本で庭木として植えられていることが多いのが、カルミアです。別名アメリカシャクナゲとも呼ばれる品種で、花は白くパラソルの形をした小さな小花を付けます。
アメリカシャクナゲの開花時期は6月ごろです。シャクナゲの花は甘くて優しい香りで、女性に人気があります。精油としても出回っているので、アロマテラピーでも楽しめます。
葉
庭木として植えることが多いアメリカシャクナゲは、常緑です。葉は楕円形で、枝先に集まって葉が生える特徴があります。
実
アメリカシャクナゲは、花が咲いた後に実を付けます。熟すと下の部分がさけて種が周りに飛び散るタイプです。
樹高
アメリカシャクナゲの樹高は、3mくらいの低木です。
種類
シャクナゲは日本のみならず、ヨーロッパ地方でよく見かけることができます。しかし、ヨーロッパ地方のシャクナゲと日本に自生するシャクナゲは性質が違うので、海外産のものを日本に持ち込んでも枯れてしまうことがあるでしょう。
ヨーロッパ地方のシャクナゲは、中国やチベットなどを原産とする種類です。一方で日本産のシャクナゲは、日本の高温多湿や冬の乾いた風にも強くなっています。
日本産
キバナシャクナゲ
キバナシャクナゲは日本の高山帯に自生する品種です。本州中部以北、または北海道の鉱山に自生する品種で、平地で栽培は難しいでしょう。
ハクサンシャクナゲ
亜高山帯に自生するシャクナゲで、本州中部以北や北海道の亜高山帯で見かけます。樹高は3mもの高さになるタイプです。この品種も平地での栽培が難しくなっています。
ホソバシャクナゲ
ハクサンシャクナゲよりも低い場所で自生している品種です。愛知県鳳来山や、静岡県西部の低山でも見かけることができます。同じく平地での栽培は難しいです。
ツクシシャクナゲ
ホソバシャクナゲと同じくらいの低地に自生する品種です。鈴鹿山麓や九州でも見ることができます。比較的低地で自生しますが、平地での栽培は難しいでしょう。
ヤクシマシャクナゲ
その名前の通り屋久島に自生するシャクナゲです。屋久島の高山に自生するタイプで、小型で海外の交配にも使われています。庭植えは難しくなっています。
外国産
海外で見られるシャクナゲの品種は、「プレジデント」「ルーズベルト」のように日本でも育てやすいものがあります。ほかにも「ジーン・マリー」「バルカン」「エリザベス」「ブリリアント」「サフロンクイーン」「ディスカラー」「サッホー」「パープル・スプレンダー」「ダフノイデス」なども日本の低地で育てるのにおすすめの品種です。
日本の品種改良された品種
日本で出回っているシャクナゲは、日本で自生しているもの以外にも品種改良によって誕生したものもあります。「トモオ」「ミチコ」「スミコ」「ヤクシミアラム」「ワダスエロー」「タイヨウ」などの品種です。
成長速度
アメリカシャクナゲの成長速度はゆっくりで、庭木にもしやすいでしょう。放任して育てても、自然樹形となります。
シャクナゲの基礎知識
花言葉
シャクナゲの花言葉は「危険」「威厳」などがあります。
シャクナゲとツツジの違いとは?
写真はツツジ
シャクナゲもツツジも、同じツツジ科ツツジ属の植物です。シャクナゲは常緑で葉が厚く、木が大きく育ちます。ツツジは落葉で花や葉も小型です。
両方の特徴を持った中間品種もあります。日本に自生するエゾムラサキツツジ、ヒカゲツツジは中間型です。
シャクナゲとボタンの違いとは?
写真はボタン
シャクナゲとボタンも見た目が似ているため、違いがわかりにくくなっています。シャクナゲはツツジ科の低木でツツジと似た葉を付けますが、ボタンはボタン科の低木で葉に艶がなく広がり、バラのような花を付けるのが特徴です。
シャクナゲとシャクヤクの違いとは?
写真はシャクヤク
シャクナゲは庭木ですが、シャクヤクは草の一種です。シャクヤクとボタンも似ている品種のため、間違われることがあります。
シャクヤクとヒメシャクヤクの違いとは?
ヒメシャクナゲはシャクナゲ同様にツツジ科の植物です。しかし、シャクナゲはツツジ属なのに対し、ヒメシャクナゲはヒメシャクナゲ属となっています。
どちらも親戚のような関係です。ヒメシャクナゲは花のつぼみの先が下を向くのが特徴で、葉はシャクナゲともよく似ています。
シャクナゲが枯れる原因
シャクナゲが枯れる原因は、炭疽病や根腐れなどが原因のことがあります。詳しくは「害虫や病気」の項目で確認してください。
シャクナゲには毒がある?
シャクナゲの葉には毒が含まれています。そのため葉をお茶にして飲むことはできません。
シャクナゲの育て方
アメリカシャクナゲは4月ごろに植え付けます。植えるのに適しているのは、西日が当たらず水はけのよい場所です。寒冷地では庭木として植えることはできません。
剪定
シャクナゲは剪定をすると芽が伸びないことがあります。
害虫や病気
シャクナゲは夏に「炭疽病」になることあります。葉や枝に斑点が現れ、次第に茶褐色になって病気が進むと枯れることもある病気です。病気を見つけたら早めに殺菌剤をまいて対処しましょう。
また、水はけが悪い場所に植えると根腐れをおこします。6月~9月に葉がしおれたようになったら、数日で枯れてしまうので注意が必要です。
肥料
肥料は植え付ける際に、油粕などの有機質肥料を与えます。翌年からは3月上旬と9月中旬に油粕や、緩効性の化学肥料を与えてください。
挿し木
シャクナゲは挿し木や接ぎ木で増やすことができます。しかし、どちらも難しく上級者向けです。
移植や植え替え
シャクナゲを地植えしたら、移植や植え替えはしないほうがいいです。
芽かき
シャクナゲの樹形を整える場合は、目かきをします。新芽が出る4月~7月ごろに、伸び始めた若い芽をかき取るようにしましょう。
水やり
シャクナゲを植え付ける際には、水をたっぷりと与えましょう。夏の乾燥する時期にも、気温が下がってきた夕方に水を与えてください。
用土
シャクナゲは粘土質のような水はけの悪い土を嫌います。そのため、腐葉土をたくさん入れて水はけをよくしておきましょう。逆に砂地のような乾燥し過ぎる土も嫌います。
日陰
アメリカシャクナゲは、半日陰でも育ちます。1日のうちに日が1/3当たる場所なら十分に育てることが可能です。
冬の管理
シャクナゲは雪が降る地域でも栽培できる品種があります。しかし、雪の重みで枝が折れてしまうことがあるので、積雪がある地域では雪囲いをしましょう。
シャクナゲの入手方法
値段
シャクナゲは小さなものでは2,000円程度から入手できます。
販売先
シャクナゲは近くのホームセンターや園芸店で入手しましょう。
実生
シャクナゲの実が割れてきたら、種を採取することができます。発芽するときに日光が必要となるので、種の上から土を被せないようにしましょう。
盆栽
シャクナゲは盆栽として小さな鉢も出回っています。枝に針金をかけて形を変えながら、盆栽をつくることも可能です。
鉢植え
シャクナゲは鉢植えとして育てる品種が多く出回っています。庭木に向いていない品種もあるので、家庭で育てるなら鉢植えを選ぶと失敗が少ないでしょう。
庭木にする場合も最初の2~3年は鉢植えで育てて、その地方の気候に慣らしてから地植えします。
苗木
小さな苗木から入手すると、大きくなる楽しみが得られるでしょう。数年鉢植えで育てて大きくしてから、庭木として育てることもできます。
シャクナゲのQ&A
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まとめ
シャクナゲは種類が多いので、その地域に合った品種を見極める必要があります。近くのお店で売られているシャクナゲなら、その地域でも育てやすいでしょう。
庭木としても植えられる品種もあるので、それぞれの品種を比較してみてください。シャクナゲは花色が豊富で、複数の種類を組み合わせる楽しみもあります。