ウメ(梅)の木の育て方

ウメの木は、春の花や初夏の実が楽しみな樹木です。日本人になじみが深く、春の訪れを感じさせてくれるでしょう。庭にウメの木を植えたいと考える方は多いのですが、こまめな剪定と消毒が必要なことは覚えておいてください。
ウメの木の特徴
【科/属】バラ科サクラ属
【樹高】5~10m
【種類】落葉高木
【花期】1月上旬~3月中旬
【花色】白、赤、ピンク、黄色
【葉形】卵形
【使い方】庭木、食用、生花材料
【耐陰性】なし
【耐寒性】強い
【名前の由来】漢名は「梅(ムイ、メイ)」で、そのまま和読みしたもの。
ウメの木は、中国が原産地です。日本でも古くから各地で栽培されてきました。
日本で最初に中国からウメの木が伝わったのは、奈良時代のことで遣唐使が持ち帰ったとされています。その後全国にも広まっていき、平安時代になると宮廷や貴族の家の庭にウメの木が植えられていきました。
平安時代のウメは、白ウメだけでなく紅ウメも入っていました。ウメの木は花見として活用されたのです。
花
ウメの花は、径2~3cmで、花びらが5枚あります。花には香りがあるのが特徴です。色は白、赤、ピンク、黄色など花色が豊富にあります。
葉
ウメの木の葉は、卵形をしています。葉が出る前に花が咲くのが特徴で、葉が出てくると実もなり出します。
実
ウメの木の実は、食用として活用されています。日本でウメの実を利用するようになったのは、鎌倉時代からです。当時は塩付けにしたウメの実を日に干して、薬用として活用していました。
その後、江戸時代になると各藩が梅干しをつくるため、ウメの木を植えています。今では、ウメの実を梅干し、梅酒、ウメジュースなどに加工しています。
梅酒に使う実は、青梅のうちに収穫します。梅干しはもう少し黄色くなりかけて、香りがよくなってからの収穫です。黄色くなってきたウメの実は、ウメジュースにも加工できます。
樹高
ウメの木の樹高は、5~10mの高木です。一般的に庭では、ウメの木を低く保つことが多いようです。自然樹形を保てば背丈は高くなりますが、狭い庭用に低く剪定することもできます。
種類
ウメの木は、200種とも300種ともいわれています。江戸時代に多数の園芸種が生み出されました。ウメの木は大きく4つに分類することができます。
野梅性
枝が細く葉が小さい品種です。枝を切っても髄が紅色になりません。さらに野梅性を細かく分類すると、「紅筆性」といって蕾の頃から紅色になる品種や、「難波性」の葉が丸く枝が細くなる品種、「青軸性」の緑白色の蕾をつける品種があります。
豊後性
枝が太く葉が丸くなる品種です。葉裏には毛があり、枝や葉柄が秋になると紅色になり、さらに寒さで色が濃くなります。
杏性
豊後性よりも枝が細かく、葉が小さく、葉裏に毛がありません。見た目は豊後性と似ていますが、区別されています。
紅梅性
枝を切って髄が紅色になる品種です。
その他の分類
ウメの木には枝垂れるものや、若い枝に斑入りになるものなどもあります。よく庭に植えられている品種は、「冬至梅」「寒紅梅」「見驚」「米良」「白加賀」などです。
ウメの木の基礎知識
ウメの木の花言葉は?
ウメの花言葉は、「不屈の精神」「高潔」です。
ウメの木の消毒方法とは?
ウメの木は病害虫が発生しやすいので、定期的に薬剤で消毒が必要です。雑菌剤は、ボルドー液や、銅製剤などを用います。
ウメの木の寿命は?
写真は臥龍梅
ウメの木は中国から日本にわたって植えられたものが、今でも残されていることから、100年以上は持つと考えられています。
茨城県にある偕楽園(かいらくえん)は江戸時代に開園された場所です。ほかにも宮城県の月知梅(げっちばい)、山口県の臥龍梅(がりゅうばい)なども古い梅の木として知られています。
ウメの木と桃の木の違いは?
写真は桃の木
似たような時期に花が咲き、同じバラ科の植物のため、ウメと桃の木は区別がつきにくくなっています。開花時期は梅のほうが早く、花びらが丸いのが梅で、花びらがとがっているのが桃の木です。花が咲き終わって実がなれば、実の様子で区別がつきやすいでしょう。
ウメの木の葉が落ちる理由は?
ウメの木は害虫や病気の数が多いので、それらの原因で木が枯れてしまうことがあります。庭にウメの木を植える予定なら、病害虫に対する知識を身に着けておきましょう。
ウメの木の花が咲かないのは?
ウメの花が咲かないのは、肥料が足りない可能性があります。花つきが悪いようなら、十分な肥料を与えてください。
また、若い苗に花を付けさせると株が弱りやすいので、4~5年育ててから花を咲かせるのが一般的です。
ウメの木の育て方
ウメの木は、日当たりと水はけのよい場所に植え付けます。半日陰でも午前中日が当たるような場所なら栽培が可能です。半日陰でも西日が当たるような場所は避けましょう。
ウメの木は公害に弱いので、植える場所に注意します。土質はあまり選びませんが、粘土質や砂地は避けましょう。水分がやや多いほうが好むが、地下水が高いところは根腐れがおきやすいです。川の近くのように水が動いているようなところがおすすめです。
剪定
園芸家なら「梅切らぬ馬鹿」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。それほどウメの木はこまめに剪定して育ててやる必要があります。
剪定時期は12月下旬~1月中旬までが適期です。長い枝には花芽が余りつかないので、伸びすぎた枝を半分ぐらいに切り詰めます。
ウメの木の花芽は、その年の春に伸びた枝につきます。
害虫や病気
ウメの木は、アブラムシ、ケムシ、コスカシバなどの害虫が発生することがあります。黒星病にもかかりやすいので、定期的に薬剤を散布するようにしましょう。薬剤は4月~6月までと、12月~2月に必要です。
肥料
苗木を植え付ける際には、元肥として有機配合肥料、乾燥牛ふん、堆肥などを深めに混ぜ合わせます。
毎年の肥料は、6月上旬に与えます。
増やし方
ウメの木は、挿し木、接ぎ木、種まきで育てることができます。しかし、ウメの木を挿し木させるのは難しいので、一般では避けましょう。ウメの木を増やすなら接ぎ木または、種まきがおすすめです。
移植や植え替え
ウメの木は、大木になっても移植が容易です。移植に適しているのは、葉がまだ動かない休眠期です。移植前に枝を強く切り詰めてから植え替えします。木に勢いがあれば、強い剪定をしても新しい芽は出てきます。
ウメの木の入手方法
値段
ウメの木のポット苗は、1,000円前後から売られています。
販売先
ウメの木は北海道から九州まで栽培が可能なので、幅広い地域のホームセンターや園芸店で手に入るでしょう。特定の品種を入手したいときは、ネットショップで探すと早いです。
苗木
ウメの木の苗木を手に入れたら、寒地は4月に植え付けします。そのほかの地域では12月中旬~2月までが適期です。
苗木から育てた場合は、地上50~60cmのところで主幹を切ります。すると脇から枝が数本出てくるので、3~4本残し、さらに出た枝を1/2に切り詰めましょう。次の年に出た枝を3~4本残して、樹形を整えてください。
枝垂れウメの苗木を植え付ける場合は、2mくらいの高さになるまで、支柱で支えて育てます。
ウメの木のQ&A
梅の木の剪定方法を教えて下さい。 40cm位・・・
40cm位の接ぎ木苗を植えて4年目くらいです、1m10cmほどまで成長し、今年実が20個ほど付きました。これまで、剪定したことがありません、剪定のしかたを教えて下さい。昨年は2個収穫しました。剪定していないので、自然のままに枝は伸び放題です。
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梅の木に付くカイガラムシについて・・・
梅の収穫も終わりましたが、今年は花の咲く時期にムシの予防をせず、ほったらかしだったので梅の実の収穫のとき、木の枝にカイガラムシがいっぱいでした
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梅の木に油虫が大量に発生しました。4月9日・・・
4月9日にスミチオン・10日後の4月20日にマラソン・5月6日にスミチノンを散布しましたが効果なかったようです。本日再度スミチオンを散布しましたが5時間後の現在半分以上の油虫が元気に動いています。
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梅の木を12本ほど植えています。落ちてしま・・・
梅の木を12本ほど植えています。落ちてしまうと傷がついてうまく漬けれないと聞きます。青いうちにとってもいいのでしょうか?ウメシロップ、梅酒、梅干など・・・用途によって取り方が違うのでしょうか?
梅の木を12本ほど植えています。落ちてしま・・・の詳細
梅の木を眺めてたら・・・??・・・
今年もかなりたくさん梅(実)がなってるかな?と見てましたら・・・3分の1くらい赤っぽい色になってるのは?青くなる前に?なるのでしょうか?
梅の木を眺めてたら・・・??・・・の詳細
まとめ
ウメの木は日本人になじみが深い木です。春の花見も、初夏の実の収穫も楽しみになるでしょう。しかし、ウメの木は病害虫が多いので、植えてから対策ができず枯れてしまわないようにしてください。品種も多いので、庭に合う種類を選びましょう。