ヤマボウシの育て方

ヤマボウシ

ヤマボウシは、北海道を除く日本各地の山地に自生する品種です。初夏の白い花や、食用にできる赤い実、秋の紅葉も美しく四季を通して楽しめます。性質も強いので、初心者にもおすすめです。ヤマボウシの特徴や育て方を紹介します。

ヤマボウシの特徴

【別名】ヤマグワ
【科/属】ミズキ科ミズキ属
【樹高】5~15m
【種類】落葉高木
【樹形】一本立ち、株立ち
【花期】5~7月
【花色】白、ピンク
【葉形】卵形
【使い方】庭木、食用
【耐陰性】ややある
耐寒性】強い
【名前の由来】山法師、花房を頭に見立て、総苞を白い頭巾に見立てたとされている。

ヤマボウシは、北海道を除く日本全国の山地に自生する、落葉高木です。ハナミズキともよく似ていますが、ヤマボウシは日本自生種で、ハナミズキはアメリカ原産の違いがあります。ヤマボウシは白い花や秋の紅葉が美しい樹木です。

ヤマボウシ
ヤマボウシの花は、5月~7月に開花します。花びらに見えるのは、総苞片です。総苞片は花弁を保護する器官です。

長さは3~8cmの卵形です。先がとがり、総苞片の中心に目立たない淡黄色の小さな花があります。花は20~30個密集してつくのが特徴です。

ヤマボウシ
ヤマボウシの葉は、先がとがった卵形です。葉の長さは4~12cmで、幅は3~7cmあります。基部が円形で縁が波打っています。葉の表面には褐色の毛が生えています。

紅葉

ヤマボウシ
ヤマボウシは、秋になると葉が赤く変化して紅葉します。紅葉が綺麗なのは落葉性のヤマボウシで、常緑性のヤマボウシは色づきがやや弱いです。

また、ヤマボウシを綺麗に紅葉させるには、日中よく日に当てる必要があります。さらに朝晩の寒暖差が激しければ、紅葉が綺麗になるでしょう。

ヤマボウシ
ヤマボウシの実は丸形で、径1.5cm程度です。ヤマボウシの花は複数が固まって咲くので、実は集合果となります。中には種が1~5個入っています。

ヤマボウシの実がなったときは緑色ですが、9月~10月になり実が熟してくると、赤く変化していきます。実は甘く南国フルーツのような味で、食用が可能です。

樹高

ヤマボウシの樹高は、5~15mと高木になります。本来高木になる木でも成長が遅いので、庭木として育てても扱いやすいです。長く育てる場合は、樹高を低くする剪定が必要になります。

種類

ヤマボウシは、白色以外にも紅色の品種があります。淡いピンク色になるのが「ベニバナヤマボウシ」です。ほかにも「シナヤマボウシ」「ヒマラヤヤマボウシ」「サトミ」などもあります。葉が斑入りになる「ゴールドスター」は葉の様子が素敵です。

ヤマボウシの基礎知識

ヤマボウシ

ヤマボウシの花言葉は?

ヤマボウシの花言葉は、「友情」です。

シンボルツリーにおすすめのヤマボウシ

近縁種のハナミズキは庭木としてよく見かける樹木です。ヤマボウシはハナミズキより落ち着いた雰囲気で、シンボルツリーとしても人気が出てきました。

ヤマボウシは丈夫で育てやすく、もともと日本に自生する品種で日本の庭に合っています。春から夏にかけての花だけでなく、食用にできる実や、秋の紅葉の様子も楽しめるため、シンボルツリーに向く樹木です。

ヤマボウシは放任しても自然樹形が整いやすく、剪定が難しくありません。成長がゆっくりで、庭木としても向いているでしょう。

ヤマボウシが枯れるのはなぜ?

ヤマボウシはもともと山地に自生する品種で、日当たりのよい場所を好みますが、やや耐陰性がある品種です。夏の暑い時期に西日が当たる場所では、株が弱ってしまうことがあるでしょう。

ヤマボウシを株立ちにする方法

ヤマボウシ
ヤマボウシは株元からひこばえがよく出る品種なので、一本立ちになっているものを株立ちに仕立てることができます。落葉期に1本の木を根元から切り、翌春にひこばえを成長させて株立ちにしましょう。


または、苗木の頃に複数本の苗を寄せて株立ちにする方法もあります。動画では3本のヤマボウシの苗木を寄せて、株立ちに仕立てています。複数の枝が出ていると、1本ずつの枝の成長を抑えられて、狭い庭におすすめです。

ヤマボウシとハナミズキの違いは?

ハナミズキ
写真はハナミズキ
ヤマボウシとハナミズキは花も木の姿もよく似ています。花びらに見える総苞の先端が丸いのがハナミズキで、とがっているのがヤマボウシです。

また、開花時期が早いのがハナミズキで、ハナミズキより少し遅れてヤマボウシの花が咲きます。実はヤマボウシなら食べられますが、ハナミズキは食用にできません。

ヤマボウシのアブラムシ対策

ヤマボウシはアブラムシがつくことがあります。薬剤はアブラムシに効き目が高い、殺虫剤を使いましょう。何度も薬剤を使っていると耐性があるアブラムシが発生することがあるので、系統の違う薬剤に変えて使うのがおすすめです。

薬剤を使いたくないときは、牛乳を水で薄めたものか、石鹸水を樹木全体に吹き付けます。牛乳がアブラムシに付着すると、呼吸ができなくなり窒息します。または、木酢液で害虫を予防する方法もおすすめです。

ヤマボウシの高さを抑える方法

ヤマボウシは自然樹形を活かしたい樹木のため、通常は強剪定しません。しかし放任すれば高木になる樹木のため、適度に剪定して高さを抑えていきましょう。

高木になってから一気に上部を切り詰めるのではなく、こまめに強い枝を切りとり、樹高を抑えます。徒長枝と切り落とす場合は、枝分かれしている付け根で切りとりましょう。

また、ある程度大きくなったら根元から切り、株立ちに仕立てる方法も樹高を抑えるポイントです。本幹を切って仕立てた株立ちは時間がかかるので、高木にできない庭にも向いています。

ヤマボウシの実の食べ方

ヤマボウシの実は南国フルーツのような味で美味しいのですが、種が多数入っているので、食べにくいと感じている方も多いようです。そのまま生食もできるので、庭にヤマボウシを植えている方は食べてみましょう。

ヤマボウシの実をジャムにする場合は、一度火にかけてから、うらごしします。種を取り除くのが面倒な場合は、果実酒への加工がおすすめです。ホワイトリカー、氷砂糖と一緒に2~3ヶ月漬け込んだら、実を取り出すだけで手間がありません。

ヤマボウシの育て方

ヤマボウシ
ヤマボウシは暑さにも寒さにも強いので、日本各地で栽培が可能です。植え付ける場所は、日当たりと水はけがよく、肥沃地である以外特にこだわらなくてよいでしょう。樹勢の勢いが強い木なので、土質も選びません。

剪定

ヤマボウシは本来高木になる樹木なので、毎年剪定して樹高が高くなり過ぎないようにします。剪定に適しているのは、落葉期の12月~2月です。

ヤマボウシの剪定は、花芽のない長い枝や、中心で混み合った枝を切りとります。全体の自然樹形を保ちながら、剪定していきましょう。花芽のない枝や、立枝も切り取ります。

ヤマボウシの花芽は、7月ごろに短い枝につきます。8月~9月に花芽が確認できてわかりやすいので、剪定の際に注意してみてください。

害虫や病気

ヤマボウシは、苗木のころにテッポウムシの被害が発生しやすいです。それ以外はアメリカシロヒトリの幼虫にも注意しましょう。

肥料

ヤマボウシ
ヤマボウシの肥料は、1月~2月と8月に与えます。油粕と骨粉を同量混ぜ合わせたものを施しましょう。

増やし方

ヤマボウシは、種まきや接ぎ木で増やすことができます。挿し木の発根率が高くないので、種まきか接ぎ木がおすすめです。

ヤマボウシは成長がゆっくりで種から育てると、花が咲くまで数年かかります。実から果肉を取り除き、土にまいて育てましょう。接ぎ木は種から育てた苗木を台木として使えます。

移植や植え替え

ヤマボウシを移植する場合は、落葉期を選びます。根の周りを掘って根回しをしてから、根鉢をつくっておきます。大木になったヤマボウシの移植は、専門家に相談すると安心です。

ヤマボウシの入手方法

ヤマボウシ

値段

ヤマボウシのポット苗は、1,000円台から売られています。

販売先

ヤマボウシは幅広い地域で植えられるので、日本各地のホームセンターや園芸店で入手が可能です。ピンク色のヤマボウシが手に入りにくい場合は、ネットショップを活用してみましょう。

苗木

ヤマボウシの苗木を入手したら、11月中旬~12月に植え付けます。土に堆肥を混ぜ合わせるようにしましょう。開花後に植え付けると、新梢が伸びず翌年花が咲きません。

鉢植え

ヤマボウシを庭木として植えるスペースがないなら、鉢植えで管理しましょう。成長がゆっくりなので、玄関先でも管理しやすいです。鉢植えでヤマボウシを育てる場合は、2年おきぐらいで一回り大きな鉢に植え替えます。

盆栽

種から育てたヤマボウシは、盆栽仕立てにして楽しむこともできます。初夏になれば白い花を楽しませてくれて、秋になれば紅葉も美しいです。

ヤマボウシのQ&A

ヤマボウシの実を好む鳥はいるのでしょうか?・・・

新居のシンボルツリーとしてヤマボウシを検討しているのですが、家の目の前に電線があるため鳥害が気になります。シンボルツリーを植える位置は玄関の目の前で、東南にあたり道路に面しています。
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ヤマボウシが元気ありません。 もう、三年位経・・・

もう、三年位経ちますが一度も花がつきません。色々調べて、夏の水不足ではないかとか、肥料が足りないのではと素人なりに頑張ってみたのですが今年もダメでした。
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ヤマボウシの剪定方法・・・

庭にヤマボウシがあります。だんだんと大きくなって、壁まで迫る勢いです。剪定時期は、3月ごろまでで、ちょうど今の時期だと思います。いろいろ調べましたが、葉芽と花芽があり、花芽を残していくように剪定する事は、分かりました。
ヤマボウシの剪定方法・・・の詳細

ヤマボウシ、夏の暑さの為か、葉が枯れて落ち・・・

ヤマボウシは高さ約3.5m、移植後8年経過、初夏には花も咲いています。しかし、2年ぐらい前から真夏になると、日差しに負けるのか、葉が枯れてきます。枯れてしまわないか心配しています。
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ヤマボウシ(ホンコンエンシス)の剪定・・・

玄関先に植えたヤマボウシが3年目でとても大きくなってきました。ネットで調べても自然樹形が良いと書いてあることも多いのですが、少し不格好なように思うので、今期剪定しようと思っています!
ヤマボウシ(ホンコンエンシス)の剪定・・・の詳細

まとめ

ヤマボウシは控えめな白い花と、食用にできる赤い実、秋の紅葉も楽しめる樹木です。新緑の時期から落葉まで、長い間楽しめるでしょう。日本各地に自生する樹木で性質が強く、初心者にも植えやすい品種です。