モクレンの育て方
モクレンは大きく分けて落葉性と常緑性の2タイプがあります。花色も白や紫など種類があるので、それぞれの特徴を比較してみましょう。庭木に適した品種の選び方や、育て方を紹介します。
モクレンの特徴
【科/属】モクレン科モクレン属
【樹高】4~6m
【種類】落葉小高木
【樹形】1本立ち
【花期】落葉性3月下旬~5月上旬、常緑性5月下旬~7月上旬
【花色】白、赤、黄色、ピンク
【葉形】卵形
【使い方】庭木、生花材料、木材
【耐陰性】なし
【耐寒性】強い
【名前の由来】中国名で木蘭、木蓮で和音読みにしたもの
もともとモクレンは、濃い紫色の花を付けるシモクレンをさしていました。しかし、現在ではモクレンの仲間の総称として使われています。
世界では別名「マグノリア」ともいいます。シモクレンは中国原産の落葉低木ですが、現在見かけるモクレンはアジア地方と北米の仲間も入れると約70種類です。
日本で自生するモクレンは、中国からわたってきた品種です。欧米では品種改良がおこなわれており、日本にも輸入されるものがあります。
花
一般的にモクレンは落葉樹で、花は3月下旬~5月上旬につけます。大輪の花は蓮の花に似ていることから、木蓮と呼ばれています。花付がよいので初心者でも育てやすい庭木です。
葉
よく庭で見かけるのはハモクレンです。ハモクレンは葉よりも花のほうが先に咲きます。葉と同時に花が咲くのはシモクレンです。
実
モクレンは袋状の実が密集してなります。長さ10cmくらいの袋状の果実が多数集まる「集合果」です。
形は卵状で、9月~10月ごろに種子ができます。実が熟すと開いて種が飛び出すタイプです。
樹高
ハモクレンの樹高は非常に高く、15mくらいの高木になります。庭にあまり広いスペースを確保できない場合は、4~6mになるシモクレンがおすすめです。他にもトウモクレンも小型で庭木として育てやすいでしょう。
種類
日本に自生するモクレンは品種改良が加えられていないものが多いが、欧米のものは品種改良され多くの品種が生まれています。
ハモクレン
中国原産のモクレンで、葉より先に花が咲きます。白くて大きな花は芳香が強く、周囲一帯が芳香に包まれるでしょう。ハモクレンは庭によく植えられている品種です。
シモクレン
紫木蓮のことをシモクレンといいます。根元から多数の枝が出て株立ちになるタイプです。高さは4~6m程度で狭い庭に向いています。
ニシキモクレン
別名ソーランジアーナとも呼ばれます。木蓮とハモクレンの交配種に付けられている総称です。ヨーロッパで交配された品種で、「アレキサンドリナ」「レイネイ」「プロソニー」などの品種が知られています。花は赤紫で内側が白いものもあります。
シデコブシ
ヒメモクレンとも呼ばれる品種です。高さが4m程度で庭にも植えやすく、花びらは12~18枚で、薄いピンク色をしています。庭にもよく植えられている品種です。
ガール・マグノリア
アメリカ農務省が生み出したモクレンです。人の背丈にしか大きくならず、株立ちが横に広がらないので、狭い庭で植えるのに適しています。花びらの外側は赤紫で、内側はピンク色です。
キンジュ
花が咲くと外側の花びらが黄色をおびた緑色になります。若葉が出たころに花が咲く特徴があります。
成長速度
モクレンは成長が速い木です。大きく育つ品種は扱いが難しくなるので、剪定の時期に枝を切り落とし、丈を抑えるようにしましょう。
モクレンの基礎知識
モクレンの花言葉は?
モクレンの花言葉は、「自然への愛」「持続性」で、白いモクレンは「高潔な心」です。
モクレンとこぶしの違いとは?
写真はこぶし
モクレンはシモクレンのことで中国原産の樹木ですが、こぶしは日本原産です。どちらもモクレン科モクレン属のため、見た目が非常に似ています。
こぶしは花が白なのに対し、モクレンは花が紫色です。
モクレンの香りはどんな香り?
モクレンは爽やかで柑橘系のような香りがします。マグノリアは精油がとれる品種としても知られていて、アロマテラピーとしても活用できます。
花束やブーケにもおすすめのモクレン
モクレンは花束や花嫁さんのブーケとしても活用されています。真っ白なモクレンはナチュラルで、緑ともよく合うでしょう。
モクレンの冬の扱い方
雪が降る地域でモクレンを植えるなら、落葉性の寒さに強い品種を選びましょう。庭木として大きく育てば、冬の雪囲いは必要ありません。若木の場合は雪の重みで枝が折れないよう、支柱を立てて紐で結んでおくと安心です。
モクレンの育て方
モクレンは日当たりのよい場所を好みます。土質は選ばないが、乾燥する場所を嫌うので、植える場所に注意しましょう。
落葉性のモクレンは寒さと暑さに強いです。常緑性のモクレンは暑さに強いが寒さには弱いので、植える地域を選びます。寒さに強い品種は、東北地方までです。
剪定
モクレンの剪定時期は、落葉性のものは2月に、常緑性のものは6月が適しています。花芽は前の年に伸びた枝先にできるので、切り取らないようにしましょう。
どちらの品種も混みあった枝を剪定する程度で、自然樹形を活かしたほうがいいです。背が低く横に広がるガール・マグノリアの場合は横に数本並べて植えて直線的に刈り込みをし、生垣に仕立てることもできます。
丈を大きく短くしたい場合は、花が咲いた後に強剪定します。かなり短い部分で切り詰めて、違う枝を新しい芯にしましょう。また、長く伸びた枝には花芽は付かないので短く切り落としてください。
害虫や病気
丈夫な木で害虫や病気になりにくいです。カイガラムシが付くとスス病になりやすいので注意しましょう。
肥料
モクレンの肥料は2月に与えます。油粕などの有機配合飼料を毎年与えましょう。
増やし方
モクレンは株分けで増やすことができます。または接ぎ木でも増やすことが可能です。
移植や植え替え
モクレンの植え付けは落葉性が2月、常緑性は4月~6月までが適しています。
モクレンは大木になってから移植は難しいので、植える場所をよく考慮しましょう。ほかにも大木になる木を植えていると、2本の木が干渉し合い、どちらかを処分しなければなりません。
モクレンの入手方法
値段
モクレンのポット苗は1,000円程度で売られています。大きく育ったものは1万円近くしますが、それ以上の価格になることは少ないです。
販売先
モクレンは近くのホームセンターや園芸店で、比較的容易に手に入ります。
盆栽
モクレンでも紫木蓮のシモクレンを盆栽に仕立てることがあります。盆栽にしては大きな花を付けるので、豪華な作品になるでしょう。
苗木
モクレンは成長が速い木なので、苗木から植えても庭木として楽しみやすいでしょう。ただし、大きくなるハモクレンは植える場所に注意してください。
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まとめ
本来モクレンとはシモクレンをさしていましたが、最近ではハモクレンやこぶしもモクレンと呼ぶようになりました。海外産のモクレンもあるので、庭木として植えたい方は品種を比較してみましょう。ハモクレンは大木になるので、広い庭に植えたい方におすすめです。