庭木の剪定のコツ

庭木の剪定

庭木を植えたら、剪定のコツを覚えておく必要があります。剪定は不要な枝を切りとり、花や実つきをよくして、日や風通しを改善させ成長に必要です。難しそうな庭木の剪定も、ひとつずつ学んでいけば習得ができるでしょう。

庭木の剪定に役立つ仕立て方の種類4選

庭木の剪定
庭木の剪定で仕立てる方法は、主に4種類あります。和風庭園では「散らし玉仕立て」や「玉仕立て」を使うことが多いですが、洋風庭園では株立ちや自然樹形を活かすことが多いようです。

散らし玉仕立て

「散らし玉仕立て」は、複数の玉仕立てを枝先につくる方法です。シイの木のように樹高が高くなる庭木で、背丈を低く仕立てるときにも使われています。

散らし玉仕立てに似ている仕立て方では、「玉作り」「貝作り」「段作り」などもあります。散らし玉仕立ては主幹を曲線に仕立てるので、植え付けるときに株を斜めに植えておきます。

1年前に植えて根が充分に張ったら、添え竹で形作っていきます。添え竹を三角になるよう立ててから、最も大きな枝をシュロ縄で下げてさし枝にしましょう。

その他の小枝もシュロ縄で引き下げていきます。それぞれの枝先を伸びすぎないように刈り込み、散らし玉作りに仕立てていきます。

株仕立て

樹木の種類によっては自然に育てるだけで株立ちになるものもあります。1本立ちに育てている樹木でも、地際から何本も新梢が出るタイプなら、株仕立てが可能です。

株立ちに向いているのは、ハナミズキ、ハナカイドウ、コデマリ、トサミズキ、ヒイラギナンテン、ユキヤナギ、ユスラウメ、レンギョウ、アジサイ、ムクゲ、アベリア、イヌツゲ、ブルーベリー、モッコク、ハギ、コムラサキ、ナンテン、ロウバイ、マンリョウ、エゴノキ、スモークツリー、ヤマブキ、ヤマボウシ、オウバイ、サンシュユ、シモツケなどです。

ほかにもコブシ、カエデ、ハクモクレン、ケヤキも株立ちに仕立てることができます。

株立ちに仕立てる場合は、切り方によって木の大きさが変わってきます。枝の途中で切り詰めるようにすると、残った枝から新梢が何本も出るので、株が大きくなります。

地際から枝を切りとるようにすると、毎年新しい新梢が出ます。株を大きくしたくない場合や、古い枝から新しい枝に更新するときに地際から切る方法がおすすめです。

自然樹形

庭木の仕立て方で迷ったら、自然樹形を活かしましょう。玉作りなどは毎年剪定の手間がかかるので、庭木に手をかけられる人向けです。自然樹形は軽い剪定だけで済むので、時間がない方におすすめできます。

庭木を植え付けたら、1本の主幹を半分くらいに切り詰めます。すると翌年の休眠期に、切った部分から枝が分かれて出てきます。さらに伸びた枝を半分に切り詰め枝数を増やしましょう。

玉仕立て

玉仕立ては丸く刈り込む方法で、狭い庭に向いています。丸く低く刈り込むのに向いているのは、ツツジ、クチナシ、ツバキ、サザンカ、ニシキギ、ヒサカキ、マキ、イヌツゲ、シャリンバイなどです。

一方で丸く仕立てるのに向いている品種は、ツゲ、カイヅカイブキ、モッコク、ツバキ、サザンカ、カナメモチ、アセビ、シャリンバイ、ツツジなどです。

玉仕立てにする場合は、枝を放任して伸ばします。ある程度木が大きく育ってきたら、主幹の芯をとめて、側枝を出させます。丸く刈り込むのは7月上旬または11月~12月が適期です。

株が小さいころは芽摘みで株を太らせます。株が大きくなってきたら、短く刈り込んで丸く仕立てていきましょう。

庭木の剪定に必要な枝の切り方

庭木の剪定
日本の庭は広さが限られているので、庭に適した大きさにする必要があります。また、枝が混みあってきたり、不要な枝が出てきたりするので、剪定が必要です。

不要な枝を切りとる

どのような木でも放任して育てていると、不要な枝が出てくるものです。不要な枝を残したまま育てていると、光や風が入り込まなくなり生育を悪くします。

正しく剪定をおこなうことで、花芽がつきやすくなり、実をつけるのです。美しい樹形を保つためにも、不要な枝を取り除きましょう。

不要な枝はいつでも切りとって構いませんが、落葉期は葉がなく不要な枝を見つけやすくなります。不要な枝とは伸びすぎて花芽がつかない「徒長枝」、真っすぐ上に伸びる「立枝」、枝と交差している「交差枝」、幹のほうに向かって伸びる「逆さ枝」などです。

ほかにも、枝の付け根から出る「ふところ枝」、下に下がっている「下がり枝」、地際から出る「ひこばえ」主幹から出る細い枝の「胴吹き枝」も剪定が必要です。

枝の種類による切り方

剪定は枝の種類によっても切り方が異なります。枝の種類による剪定方法を覚えておくと、どんな樹木にも対応できるようになるでしょう。

太い枝

ハサミで切れないほど太くなった枝は、のこぎりを使って切ります。上から一度に切ろうとすると、枝が付け根から割れてしまうので避けましょう。

のこぎりを使って枝の下から途中まで切り目を入れてから、上からも同様に切ります。下の切り目は付け根に近い部分を切り、上からの切り目は少し外側に切り込みを入れると、割れずに自然と枝が落ちるでしょう。

最後に残った枝の根元を、ナイフで綺麗に切りとります。切り口には保護剤を塗っておくと、木が病気にかかり枯れてしまう心配がありません。

ひこばえ

地際から出る細い枝のことを「ひこばえ」や「ヤゴ」といいます。株立ちになる樹木の場合は、放任すると地際からひこばえが多数出てくるので、剪定が必要です。

ひこばえを残すと栄養が取られるので、早めに切り落としましょう。浅く切り落とすとまた翌年出るので、土を掘り起こして付け根からしっかり落とします。

株立ちに仕立てている場合は、ひこばえを使って枝を更新することもできます。

徒長枝

徒長枝はそのまま残すと、花芽がつかず実をならすことができません。長く伸びた枝ほど栄養がいきわたらないためです。そのため、徒長枝は切り落としてしまいます。

常緑樹の枝

常緑樹の場合は、葉がないと芽が出にくいので剪定位置に注意が必要です。葉のある枝を残して、その上から剪定するようにします。

しだれ枝

枝が枝垂れる品種は、剪定する芽の位置に注意が必要です。内芽で切ると木に丸みが出ないので、必ず外芽で切るようにします。

木の「内芽」「外芽」とは、幹から出ている芽の方向です。枝から向かって幹の方向に向く芽が「内芽」、外側に出ている芽を「外芽」といいます。内芽できると枝が幹側に伸びていくので、外芽で切って伸びてくる枝を外側に向けると木が大きく広がっていきます。

芽の付き方の違いによる剪定

庭木の剪定
花や実を付ける木の場合は、剪定位置に注意しましょう。品種によっても芽の付き方が変わってくるので、それぞれの種類に応じた剪定の方法があります。

新梢の葉腋につく

ウメの木などは、長く伸びた枝には花芽がつきません。充実した短枝に目がつくので、徒長枝を切りとって短い枝を育てていきます。

落葉樹は落葉期に、常緑樹は花後に剪定します。枝を付け根から切り落とさなければ、花芽を切りおとしてしまう心配はないでしょう。

元気のよい新梢の先端につく

元気のよい新梢に花芽がつきます。開花と同時に伸びる新梢に花芽がつくので、花が咲き終わった部分は花がらを切る程度にします。

元気のよい新梢につく

サルスベリや柑橘系の品種では、元気のよい新梢に花芽がつき、その年に開花させます。新梢が伸びてからだと花芽を切ってしまうので、落葉期に剪定しましょう。剪定方法は難しくありません。

新梢の短枝の先端につく

新梢の短枝の先端に花芽がつく品種は、休眠期に長く伸びた枝を切りとります。基部を残して長い枝を切りとると、残った芽が短い枝となり花芽がつきます。

新梢の先端につき翌年枝を伸ばす

カキのように新梢の先端に花芽がつき、翌年枝を伸ばす品種は、落葉期に元気な枝を残して剪定します。枝が充実しているものを残して、不要な枝を剪定します。

新梢の先端から1~3芽につく

新梢の先端に花芽がつかず、1~3芽が花芽になる品種があります。花が咲き終わったら新梢を低く切り詰めます。切り取った下が花芽になるので、好みの高さに調節が可能です。

庭木の伐採や剪定に必要となる道具6選

庭木の剪定

1・植木ばさみ

植木ばさみは、細い枝を切りとるために使います。芽切りばさみといって、葉が細く芽を切りやすいタイプもあります。

2・剪定ばさみ

植木ばさみで切れないような枝を切るためのハサミです。植木ばさみと変わらない大きさですが、バネが付いていて少ない力で枝を切ることができます。

3・刈込みばさみ

生垣を切るために必要となるハサミです。持ち手が長くなっているハサミで、玉作りなどの幾何学な形にも切ることができます。

4・高枝切り

棒の先端にハサミがついています。ロープを引いて高い場所の枝を切ることができるハサミです。

5・剪定のこぎり

ハサミで切れないような太い枝を切るための道具です。折りたたみ式のものだと持ち運びがしやすいでしょう。

6・切出しナイフ

挿し木や接ぎ木をするときに使う道具です。

まとめ

庭木の剪定に慣れていない方は、1本ずつ性質を確認しながら、必要な剪定方法を覚えていきましょう。品種によっても似たような剪定ができるので、基本の剪定方法を覚えておくと役立ちます。