モミジとカエデの育て方と違い

モミジとカエデ

モミジとカエデを庭植えにしたいと考えたら、モミジとカエデの違いがわかりにくいですよね。それぞれの見分け方と、品種を紹介します。モミジやカエデは種類が多いので、自分の庭に合ったものを選びましょう。剪定が楽で葉の色が美しいので、多くの人に愛されています。

モミジとカエデの特徴

【別名】カエルデ
【科/属】カエデ科カエデ属
【樹高】種類により1.5m~15m
【種類】落葉低木~落葉高木
【花期】4月
【花色】赤、緑
【葉形】手のひら形、羽形、卵形
【使い方】庭植え、品種により生垣
【耐陰性】ややある
耐寒性】強い
【名前の由来】葉が手のひら形で、カエルの手に似ているので、カエルテ→カエデとなった。

カエデはモミジと呼ばれることもありますが、どちらも属名はカエデ科カエデ属です。園芸上ではカエデとモミジは区別されてきました。

秋の紅葉のことを「モミジ」ともいいますが、秋の紅葉の代表的な樹木がカエデ属の植物です。カエデ科の植物に共通するのは、葉はすべて対生になることです。

カエデの仲間が自生しているのは、世界各国の北半球です。日本や中国にも自生している品種があります。

カエデやモミジの紅葉が美しくなる条件は、昼間は暖かく夜に気温が下がることです。さらに空気が澄んで豊富に紫外線を浴びて、空気中に適度な湿度があることが条件になります。その結果、北海道や東北地方などは紅葉が美しくなる条件が多いです。

日本でカエデの種類を紅葉として楽しむようになったのは、鎌倉時代からでした。そのころは山野カエデやモミジを観賞することが主で、庭植えは楽しまれていませんでした。

モミジとカエデ
カエデまたはモミジの花は、小さくて見たことがないという方も多いでしょう。赤い小さな花が複数密集して咲くのが特徴で、垂れ下がっています。

ハウツワカエデの花やイタヤカエデの花は赤く、カラコギカエデの花は淡黄緑色をしています。開花時期は4月くらいで短いです。

モミジとカエデ
カエデまたはモミジの葉は、手のひら型、または羽形、卵形など種類があります。一般的に手のひらを広げたような形を思い浮かべますが、細長い葉や、斑入りになるものもあります。

モミジとカエデ
カエデまたは文字の実も、あまり目立たなく見たことがない方が多いでしょう。実は2枚の翼があるのが共通しています。果実がなるのは5月~10月までと長いです。

樹高

カエデまたはモミジの樹高は、品種によって異なります。背丈の低いものは1.5mの低木ですが、なかには15mの高木になる品種もあります。庭木としてカエデやモミジを植える場合は、庭の広さに合った品種を選びましょう。

種類

モミジとカエデ
日本で庭植えようの園芸種が誕生したのが、江戸時代になってからです。当時は100種類程度あったようで、その後明治自体には202品種に増えて、海外にも輸出され品種改良がおこなわれました。

コハウチワカエデ

北海道から九州の山地に自生している品種です。よく葉が茂り、秋になると葉が黄色く紅葉する様子が楽しめます。別名「イタヤメイゲツ」とも呼ばれる品種です。

ハウチワカエデ

ハウチワカエデ
写真はハウチワカエデ
北海道から本州までの山地に自生する品種です。葉が大きく若葉には白い綿毛が生えます。秋になると赤く紅葉するのが特徴です。

イタヤカエデ

イタヤカエデ
写真はイタヤカエデ
北海道から九州までの山地に自生する品種です。樹高は20mにもなる高木で、庭植えする場合はある程度の広さが必要になります。葉の切れ込みが浅くて、葉は大きくなります。秋の紅葉は美しくはなく、黄色くなって落葉するタイプです。

トウカエデ

中国に自生する品種で、古くから日本に入ってきて庭木や街路樹として使われています。葉が小さく3つに割れるだけなので、中国では「三角楓」と呼ばれています。秋になると最初は葉が黄色くなり、次第に赤色になる品種です。

ヤマモミジ

日本海側に自生する品種で、北海道から九州の山地でよくみられます。イロハモミジよりも葉が大きいのが特徴です。同じイロハモミジやオオモミジとともに、多くの園芸種を生み出すのに使われてきました。

イロハモミジ

イロハモミジ
写真はイロハモミジ
日本各地の山地に自生する品種です。名前の由来はイロハニホヘトと葉が7つに分かれているところからきました。しかし、実際には葉が7つに分かれていないものが多いです。

イロハモミジは京都の高尾が有名です。そのため別名「タカオモミジ」とも呼ばれています。イロハモミジは葉が開くときや、秋の紅葉、葉が落ちた幹の様子も美しいです。

その他の品種

メグスリノキ
写真はメグスリノキ
カエデやモミジの品種では、ほかにも芽が出た際に葉が赤くなる「野村」や「ベニシダレ」などがあります。「メグスリノキ」のようにカエデやモミジの名前が付かないものもあります。

斑入りになるカエデやモミジは、「ネグンドカエデ」の「ヴァリエガーツム」や、同じ品種の「オーレオ・ヴァリエガーツム」などがあります。

モミジとカエデの基礎知識

モミジとカエデ

モミジとカエデの花言葉は?

モミジやカエデの花言葉は、「調和」「美しい変化」「遠慮」「隠栖」などです。

モミジとカエデの違いとは?

モミジとカエデ
モミジとカエデの属名は同じですが、園芸上は区別しています。そのため、品種名に「カエデ」と付けられたものもあれば、「モミジ」の言葉が付いているものもあります。

葉の切れ込みが深いものがモミジで、浅いものはカエデです。また、葉の切れ込みが深く5つ以上に分かれるものをモミジ、葉の切れ込みが浅く3つに分かれるものをカエデと分類することもあります。

もともと「モミジ」とは秋の葉が赤や黄色に変化ことを示します。秋の紅葉の中でも色が美しいのがイロハモミジで、紅葉の代表となり、紅葉のことを「モミジ」と呼ぶようになりました。

カエデとは、カエルの手に似ていることから「カエデ」になっています。

カエデの樹液の活用方法

カエデというとメープルシロップを思い浮かべる方もいるでしょう。カエデの樹液を採取するには、ドリルで幹に穴をあけてホースを差し込みます。採取した樹液は煮詰めることでメープルシロップになります。

低木のモミジやカエデとは?

庭にモミジやカエデを植える場合は、低木のものを選ぶ必要があります。イタヤカエデは樹高が20mの高木となるので避けるようにしましょう。

新芽が赤くなる品種なら、赤地錦がおすすめです。園芸名では「セイガイ」とも呼ばれています。芽が出たころに葉が赤くなり、その後葉が緑に変わり、秋には紅葉しません。樹高が2mくらいなので、狭い庭にも向きます。

モミジとカエデの育て方

モミジとカエデ
モミジやカエデは品種によっても生育環境が異なります。一般的に、砂地のような乾燥する場所を嫌います。太陽の光は午前中に日が当たる程度でもよく、半日陰でも栽培が可能です。しかし、春の芽出しの美しさや、秋の紅葉を楽しみたいなら、日当たりのよい場所を選びましょう。

植える場所は水はけのよい場所を選びます。川の端のように水が絶えず動いているようなところがよく、水が停滞する場所は向いていません。ある程度の水が必要です。

剪定

モミジやカエデの剪定は、秋におこないます。自然樹形が美しい木なので、剪定は混みあった枝を間引く程度にしましょう。剪定は対生の枝の一方を切りとると樹形が保てます。樹高を抑えたい場合は、主幹を芯止めすることも可能です。

1本長く伸びている枝を切り詰める場合は、芽の上で切りましょう。切り詰めたところから三股になったら、中心の枝を三股になった付け根から落とします。

剪定の時期が遅いと切り口から樹液が流れて、木が弱ってしまいます。落葉直後~1月までが適期ですが、剪定時期が遅くなるようなら切り口に保護剤を塗ってください。

害虫や病気

モミジやカエデの仲間は、うどんこ病に注意が必要です。5月~7月の夏と、秋の長雨の時期9月~10月に発生することがあります。

新芽の時期には、アブラムシが付きやすいので、見つけたら早めに除去しましょう。モミジで最も注意したいのがテッポウムシで、最悪の場合は木が枯れてしまいます。幹に穴が開いていたら殺虫剤で駆除してください。乾燥するとテッポウムシが発生しやすいので、十分散水しましょう。

肥料

モミジとカエデ
モミジやカエデは、2月に肥料を与えます。肥料は有機配合肥料や、乾燥鶏ふんなどの有機質です。また、5月に化成肥料を少量与えましょう。

増やし方

モミジやカエデは、接ぎ木や挿し木、種からも増やすことができます。園芸種は接ぎ木や挿し木の増やし方がおすすめです。

山に生えているモミジやカエデから増やしたいなら、秋に山から種を採取しておきましょう。すぐに種をまいて屋外に出し、寒さにさらしておくと翌春に芽が出ます。

移植や植え替え

移植する必要がある場合は、秋の落葉後にすぐおこないます。根が浅く張る性質があるので、大木になってからの移植は、風であおられないように支柱を立てるようにします。

モミジとカエデの入手方法

モミジとカエデ

値段

モミジやカエデのポット苗は、500円くらいから売られています。盆栽用や鉢植え用などの苗も売られているので、比較的安く手に入りやすいでしょう。

販売先

モミジやカエデは日本の幅広い地域で自生しているので、近くのホームセンターや園芸店で入手できるでしょう。特定の品種が手に入りにくい場合は、ネットショップの購入も検討してみてください。山に生えているモミジやカエデでいいものを見つけたら、種から育ててみることもできます。

苗木

モミジやカエデの苗を入手したら、落葉直後~2月までが植え付け時期です。過湿を嫌うので、堆肥を十分混ぜ合わせて、高植えにして支柱を立てておきましょう。

盆栽

モミジとカエデ
モミジやカエデは葉の美しさから、盆栽としても栽培されています。盆栽で育てる場合は、日当たりと風通しの良い場所で管理しましょう。しかし、強い日差しで葉焼けをおこしやすいので、夏は半日陰での管理がおすすめです。

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まとめ

モミジやカエデは、葉の美しさからガーデニングを楽しむ人なら一度は植えてみたいと考えたことがあるでしょう。多数の品種があって自分の庭に適しているモミジやカエデを選ぶ楽しみもあります。品種選びで迷ったらポット苗の安いものを購入して鉢植えで育ててから、気に入ったら庭植えにする方法もおすすめです。