イチジクの栽培方法

イチジク

イチジクの栽培歴史は古く、日本でも長く果樹として扱われてきました。甘くて美味しい実を付けるので、収穫する楽しみがあるでしょう。暖地の植物ですが鉢植えでの管理もできるので、寒冷地では冬に室内に取り込むのがおすすめです。イチジクの特徴や栽培方法を紹介します。

イチジクの特徴

【別名】トウガキ、ナンバンガキ
【科/属】クワ科イチジク属
【樹高】3~6m
【種類】落葉小高木
【樹形】1本立ち
【花期】5月下旬~9月
【花色】緑
【葉形】手のひら形
【使い方】庭木、食用
【耐陰性】なし
【耐寒性】なし
【名前の由来】トウガキは中国から渡来したことから、イチジクは不明。

イチジクは、アラビア半島南部が原産の、落葉小高木です。日本に渡ってきた歴史は古く、3000年以上前に伝わったといわれています。中国から日本にわたってきました。

また、イチジクの栽培の歴史も古く、紀元前2700年前のエジプトだといわれています。イチジクの品種は200以上ありますが、日本で流通している品種は数種類と少ないです。

イチジク
イチジクは「無花果」とも書くのは、いつのまにか実がなるからです。花がないわけではなく、実の中に隠れているため見えません。

イチジク
イチジクの葉は、大きい手のひら形です。葉は3~5に分かれています。

イチジク
イチジクの実は、砂糖のように甘く皮ごと食べられるものがあります。実は生食はもちろん、ジャム、果実酒など加工しても食べることができます。果実酒にした場合は2ヶ月後に実を取り出してから熟成させましょう。

夏果種は6月下旬~8月上旬に、秋果種は8月中旬~10月下旬に実が収穫できます。イチジクの実が熟すと下がってくるので、熟したものから順次収穫します。

樹高

イチジクの樹高は、3m~6mでやや高くなります。しかし、剪定をしてコンパクトに仕立てることも可能なので、狭い庭でも管理ができるでしょう。

種類

イチジク
イチジクには夏に実がなる「夏果種」と、秋に実がなる「秋果種」の2タイプがあります。日本では梅雨があるので、秋果種の栽培が基本です。

桝井ドーフィン

日本で最も流通しているイチジクは、「桝井ドーフィン」です。夏秋併用種で、実が大きくなります。栽培が容易で実がなりやすい特徴があります。耐寒性が低い品種です。

ザ・キング

夏に実を付ける品種です。小ぶりな実が特徴で、たくさん実がなります。たんぱくな味で食べやすい品種です。

ビオレドーフィン

夏に実を付ける品種です。梅雨時に実がなるので、収穫量に影響が出ることがあります。実は甘みや香りが強く、皮が薄いので傷みやすいです。

リザ

夏秋併用種です。ニュージーランド原産の品種で、大きな実がなります。実は酸味が強いので、ジャムに加工して食べるのに適した品種です。

バローネ

夏秋併用種です。夏は実が大きくなりやすく、秋は小ぶりな実がなります。味は甘みが強くなっています。

ホワイトゼノア

夏秋併用種です。甘みが強く香りもよい品種です。ケーキ用材料としても用いることができます。実は大きく、日持ちが悪い品種です。

ゼブラスイート

秋に実がなる品種です。白地に緑色のストライプ模様が特徴で、観賞用としても用いることができます。実は甘みと酸味を兼ね備えています。

蓬莱柿

夏にも実が少しなりますが、秋が主体でよく実がつきます。熟すと実が割れるタイプで、寒さに弱くなっています。実の味は酸味が強いです。

ネグローネ

秋に実がなる品種です。酸味が強いので、ドライフルーツに加工するのに向いています。

イチジクの基礎知識

イチジク

イチジクの花言葉は?

イチジクの花言葉は、「子宝に恵まれる」「多産」「実りある恋」などです。

イチジクの実がならないのはなぜ?

イチジクの実がならないときは、花芽を切っていないか確認しましょう。夏果種を冬に剪定してしまうと葉芽を取ってしまうので注意が必要です。夏果種で剪定する場合は、混みあった部分の枝を切りとる程度にします。

逆に秋果種は落葉期の剪定が必要です。春に新しく伸びた枝に実を付けるので、毎年冬に伸びた枝を切り戻しします。切り戻しの際には、基部に2~3芽残してください。

イチジクの育て方

イチジク
イチジクは、雨の少ない暖地で栽培します。耐寒性がないので、寒冷地では庭植えすることができません。

栽培する場所は、日当たりがよく、肥沃な場所です。葉が大きくて風で折れることがあるので、風の強い場所は避けましょう。

剪定

イチジクの秋果種は伸びた新梢に実がなるので、毎年冬に剪定します。実がなった枝の基部の2芽を残して、切り戻し元気な新梢を出しましょう。夏果種は伸びた枝先に小さな実がなり越冬するので、枝先を切り詰めるのは避けます。

イチジクの枝を切ると切ったところが腐って穴があき、放置すると雨水が溜まって病害虫の原因になります。枝を切ったら切り口に木工用ボンドを塗って保護します。

イチジクの枝を切ったところから白い液が出てきます。皮膚につくとかぶれやすいので、手袋をして作業してください。万が一手に付いたら早めに石鹸で洗い流します。

イチジクはさまざまな仕立て方があります。「2本主枝仕立て」「一文字仕立て」などです。

2本主枝仕立て

主幹と垂れ下がっている枝を使い2本仕立てにする方法です。主幹をやや横に倒し、寝ている横枝を立ててVの字に仕立てます。2本の枝を育てていくので樹高は高くなりますが、横幅が少なく狭い庭や鉢植えに向く仕立て方です。

一文字仕立て

2本の枝を真横に広げていく仕立て方です。秋果種で用いることができます。樹高を抑えることができるので、幅があっても高さが出せない庭におすすめです。

主幹から左右に出た枝を2本残し、それらを60度の位置で固定します。落葉したら、2本の枝を真横に向けて、一文字になるよう固定しましょう。

害虫や病気

イチジクは、テッポウムシと、夏にカミキリムシ注意が必要です。ほかにもスリップス、アブラムシ、カイガラムシも発生することがあります。

病害虫の発生が少なければ、虫を捕獲して傷口の処理だけで済みます。病害虫が広まってきたら、農薬散布も考えて早めに対策します。

肥料

イチジク
イチジクの肥料は、油粕と骨粉を同量混ぜたものか、化成肥料を与えます。

増やし方

イチジクは挿し木で増やすことができます。発根率が高いので、初心者でも増やしやすいでしょう。いつの枝でも構いませんが、充実した枝を選んで挿し木します。

移植や植え替え

イチジクの移植や植え替えは、落葉期におこないます。植木鉢で育てている場合は、2~3年に一度の植え替えが必要です。

イチジクの入手方法

イチジク

値段

イチジクのポット苗は、数百円程度から売られています。

販売先

イチジクは寒さに弱く暖地で地植えできる品種なので、暖かい地域のホームセンターや園芸店で探しましょう。寒冷地でも鉢植え用なら手に入る可能性があります。特定の品種が手に入りにくい場合は、ネットショップの活用がおすすめです。

苗木

イチジクの苗木を入手したら、11月下旬~3月上旬に植え付けます。土に堆肥をよく混ぜて保水性を高めましょう。苗木は主幹1本だけになっているので、植え付けたら50~60cm残して切り詰め、枝を左右に数本出せます。

枝が4~5本以上は不要なので、それ以外は間引きして本数を整理します。先端部分から出る枝は樹勢が強く樹形を乱すので、早めに頂芽をかきとっておきましょう。樹形は逆三角形になるよう仕立てていきます。

1年目は枝を十分育てたいので、実がなっても取り除きます。

鉢植え

イチジクを鉢植えする場合は、8号以上の鉢に植え付けましょう。2年目になったら根を掘り起こして、古い根を切り落とし一回り大きな鉢に植え替えてください。

イチジクは葉が大きく蒸散量が多いので、夏に水を切らさないことがポイントです。

イチジクのQ&A

いちじくが好きで栽培していますが細い枝が何・・・

実はつけますが熟しません。標高700M近い長野県の盆地で夏暑く冬はマイナス10度になりますが、近所にイチジクは成っています。どんな管理をしたら太い幹になり実をつけますか?
いちじくが好きで栽培していますが細い枝が何・・・の詳細

無花果(イチジク)の栽培のことでお知恵をお・・・

実をつけてくれるのですが、その実自体に甘味どころか、全く水分がなく、ぱさぱさ状態なのですが、これにはどのような原因が考えられると思われるでしょうか?
無花果(イチジク)の栽培のことでお知恵をお・・・の詳細

イチジクの挿し木について教えて下さい・・・

今年の6月頃、イチジクの挿し木をしました。近所の畑のそばに生えていた木から枝を貰ってきたところ、ふたつの枝から新芽が出、順調に成長しています。そこでそろそろ庭に定植しようと思うのですがふたつの株をほぐしてしまってよいものでしょうか?
イチジクの挿し木について教えて下さい・・・の詳細

イチジクの低温障害について教えてください。・・・

品種ドーフィンを一文字にして栽培しているのですが、冬季の寒さ対策に、藁とビニールを巻いたところ、日中と夜間の温度差が生じてしまい、両枝の三分の一ぐらいが枯死。枯死した枝は、切るつもりですが、枯死していない枝から現時点で芽吹いてはいるのですが、成長があまりにも遅くこのまま栽培して良いのか分かりません。
イチジクの低温障害について教えてください。・・・の詳細

イチジクについて質問します。・・・

我が家のイチジクは苗を植えて一年経過しました。しかし結実しませんでした。どのような肥料を与えれは良いでしょうか?現在はたまに化成肥料を与えてます。また、あまり大きくなっても困るのですが、どのように剪定するのが良いでしょうか?
イチジクについて質問します。・・・の詳細

まとめ

イチジクは甘くて美味しい果実を付けるので、果樹としても人気があります。寒冷性がないので暖かい地方での栽培におすすめです。イチジクは品種に応じた剪定方法が重要なので、育てたい品種に合わせて栽培方法を確かめておきましょう。