ムクゲ(木槿)の育て方
ムクゲは1日花ですが、夏に次々と花を咲かせてくれます。挿し木でも容易に増やすことができて、強剪定も可能で初心者向けでしょう。八重咲など花の形や色でも選ぶ楽しみがあります。ムクゲの特徴や育て方を紹介します。
ムクゲの特徴
【科/属】アオイ科フヨウ属
【樹高】3~4m
【種類】落葉花木
【樹形】1本立ち、株立ち
【花期】7月中旬~10月中旬
【花色】白、赤、ピンク、紫
【葉形】卵形
【使い方】庭木、生垣、生花材料
【耐陰性】なし
【耐寒性】強い
【名前の由来】ムクゲの中国名は「木槿」でその転訛とか、韓国名の「無窮花」の音読みという説がある。
ムクゲは、中国原産の落葉低木です。昔は庭がある家なら、どの家庭でもムクゲの1本が植えられていたものです。最近では見ることが少なくなりました。
しかし、ヨーロッパで背丈が低く木一面に花が咲くムクゲを見ることがあります。北海道もヨーロッパと気候が似ているので、同じように背丈が低く花が多く咲きます。
ムクゲは韓国では国民花になっています。中国から日本に入ってきた時期は、はっきりしていません。最初は薬用として入ってきました。日本では江戸時代に品種改良がおこなわれ、40種類以上の品種が生み出されています。
花
ムクゲの花は、7月~10月ごろに開花します。花は径5~10cmの大型で、花びらは5枚です。その年に伸びた枝の葉のわきに花が咲きます。花色は、白や赤など種類も多いです。
葉
ムクゲの葉は、菱形の卵形で、先がとがっています。葉の縁には不揃いのギザギザがあります。長さは4~10cmで、幅は3~5cmです。
紅葉
ムクゲは、秋になると黄色く紅葉します。落葉樹なので、紅葉した葉は冬になると落ちていきます。
実
ムクゲの実は、径1.5~2cmの卵形です。黄褐色を帯びていて、表面には星状の毛が密生します。10月になり実が熟すと5つに割れて、毛がある種子が出てきます。
樹高
ムクゲの樹高は、3~4mくらいです。しかし、ヨーロッパと気候が似ている北海道では、樹高が1~2mくらいで背丈が低くなります。強く刈り込むことも可能なので、伸びすぎた場合は刈り込んで小さく育てることもできます。
種類
ムクゲは江戸時代に多く生み出されましたが、品種名が付けられたものは少ないです。地方によっても花色が偏っています。花が白いものは関東方面に少なく、九州に多いです。
ムクゲの花は、一重、二重、半八重、八重などの種類があります。自然実生でも変種が出やすいので、花色や花の形が豊富です。ヨーロッパやアメリカでもムクゲが伝わり、アメリカで生まれた品種もあります。
ムクゲの品種は、「シングルレッド」、半八重咲でバラのような淡いピンクの「ピンクデライト」、シックな赤い八重咲になる「光花笠」もあります。白い花の中心が赤くなる「宗旦」はムクゲの代表種です。
成長速度
ムクゲの成長速度は速いです。しかし、最終樹高がそれほど高くなく、剪定で切り詰めることも可能なので、狭い庭でも育てることができます。江戸時代には生垣としても利用されていたようで、松尾芭蕉の句でもムクゲが登場します。また、昔から茶花としても活用していた樹木です。
ムクゲの基礎知識
ムクゲの花言葉は?
ムクゲの花言葉は、「信念」「新しい美」などです。
八重咲のムクゲとは?
ムクゲは、白、ピンク、赤、紫などの色の八重咲品種があります。「ピンクデライト」は淡いピンク色で半八重咲になり、バラのように花びらが重なった様子が楽しめます。
ハイビスカスに似たムクゲとは?
写真は宗旦
ムクゲは周りが白く中心が赤くなる、ハイビスカスに似た花があります。「宗旦」という品種は、見た目もまるでハイビスカスです。ハイビスカスもムクゲ同様アオイ科の植物なので、花が似ているものがあります。
ムクゲの冬の管理方法は?
ムクゲは寒さにも強く耐寒性があるので、雪が降る地域でも育てることができます。積雪がある地域では、雪の重みで枝が折れないように縄で枝をまとめておきましょう。
ムクゲは北海道でも育つ?
ムクゲは耐寒性のある樹木なので、北海道でも栽培が可能です。大通り公園でも、ムクゲの木が植えられています。
花束にムクゲを使う場合の注意点
ムクゲは花が咲いても1日で落ちてしまうので、一般的に花束として用いることはありません。プレゼントする方がムクゲを好む場合は、花が落ちやすいことを考慮して花束にしましょう。ハイビスカスや八重咲のバラなどでもムクゲの代用ができます。
ムクゲの花が咲かないのは?
ムクゲの花が咲かなくなってきたら、思い切って短く剪定してしまいましょう。翌年に新しい枝がたくさん伸びてきて、花が咲きやすくなります。
ムクゲと芙蓉の違いは?
写真は芙蓉
ムクゲも芙蓉もどちらもアオイ科の植物です。どちらも1日花で、朝花が咲いても夕方には落ちてしまいます。
ムクゲと芙蓉を区別する場合は、葉を見て比較しましょう。芙蓉は5角形の葉をしているのに対し、ムクゲの葉は小さくギザギザしています。
ムクゲの育て方
ムクゲは、寒さや暑さに強く、日本全国どこでも栽培が可能です。土質は選ばないが、乾燥する場所に植えるのは避けましょう。日当たりのよい場所を好む性質があります。
根は横に広がらないので、花壇や芝生の縁に植えても影響を受けません。
剪定
ムクゲは放任しても樹形が整いますが、暖地では枝が伸びやすいので剪定したほうがいいです。また狭い庭で育てる場合や、生垣にする場合も強剪定します。
ムクゲの花芽は、その年に伸びた枝にできるので、冬に強い刈り込みをしても夏に花が咲きます。強い剪定をしてもすぐに芽が出てくるので、初心者でも扱いやすいでしょう。
東京方面で7月に剪定すると、9月に花が楽しめます。剪定は枝が伸びているときでも可能ですが、落葉している時期が適期です。根元からひこばえが出たら切り取り、胴吹き枝も切り取りましょう。
剪定方法は、枝の根元から10cmくらい残して切り詰めます。剪定後は枝がかなり短くなりますが、翌年は新しい枝が伸びて花を咲かせます。
害虫や病気
ムクゲは、よく虫が付きます。付く虫はワタノメイガ、ワタアブラムシ、テッポウムシなどです。芽が出ることにアブラムシが発生しやすいでしょう。虫が付いても丈夫なので駆除しなくても育つが、気になる場合は対策しましょう。
肥料
ムクゲの肥料は、2月に与えます。堆肥や乾燥牛ふんなどを混ぜ込みましょう。9月に化成肥料を追加してください。
増やし方
ムクゲは、挿し木で容易に増やすことができます。近所で植えられているムクゲで花が気に入ったものがあったら、3月に枝を分けてもらい挿し木しましょう。
移植や植え替え
ムクゲは、落葉期に移植することができます。関東方面では、3月~4月が適期です。真冬の移植は避けてください。
ムクゲの入手方法
値段
ムクゲのポット苗は、数百円くらいから売られています。
販売先
ムクゲは日本全国で栽培が可能なので、幅広い地域のホームセンターや園芸店で入手できます。しかし、一般的な品種が多く、八重咲など変わった品種を入手したいときは、ネットショップで探すのがおすすめです。
苗木
ムクゲの苗木を入手したら、11月~12月または2~4月に植え付けてください。成長が速い木で、早い時期から花が楽しめるでしょう。
鉢植え
庭にムクゲを植えるスペースがない家庭では、鉢植えで育てましょう。簡単に挿し木ができるので、近所の人から枝を分けてもらい植木鉢に植えることもできます。鉢植えは土が乾いたらたっぷり水を与えてください。
盆栽
大きな花が咲くムクゲは、盆栽として仕立てても面白いでしょう。盆栽にした場合は、冬になったら寒さ対策が必要です。針金かけは5~6月ごろで、花が付く前におこないます。盆栽は1~2年で植え替えが必要です。
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まとめ
ムクゲは日本では昔から植えられてきた木のため、馴染み深いでしょう。樹高もあまり高くならず、バッサリと強剪定しても問題ありません。夏に次々と花を付けるので、夏から秋まで花を楽しむことができます。