ツバキ(椿)の育て方

ツバキ

ツバキは花が華やかで、艶やかな葉が魅力の樹木です。そのため、日本では古くから庭木として親しまれてきました。日本に自生する品種もあるので、幅広い地域で育てやすいでしょう。ツバキの育て方や注意点を紹介します。

ツバキ(椿)の特徴

【別名】-
【科/属】ツバキ科ツバキ属
【樹高】1~6m
【種類】常緑低木~高木
【花期】11月下旬~翌4月下旬(早咲き、遅咲きがあり)
【花色】白、赤、黄色、ピンク
【葉形】卵形
【使い方】庭木、生垣、生花材料、材木、椿油
【耐陰性】ややある
【耐寒性】ややある
【名前の由来】葉の特徴から「艶葉木」「厚葉木」「寿葉木」となり、その転訛。

ツバキは日本原産の種類が複数あります。日本では、ツバキは庭木としてよく植えられる品種です。花の美しさや葉の光沢のある様子が魅力で、四季を通して楽しませてくれます。

日本人にとってツバキは古くから愛用されてきました。桜、ツツジとともに日本人になじみが深く、古代の人はツバキから染料や油をとるなど生活にも活用していました。

ツバキ
ツバキの花の開花時期は、11月~翌4月までです。品種によって開花時期が異なるので、庭の様子を考えながら適切な品種を選びましょう。花色は白、赤、黄色、ピンクなど多くの色から選ぶことができます。

ツバキ
ツバキの葉は、艶があるのが特徴です。常緑樹のため、冬になっても緑を楽しませてくれるでしょう。

ツバキ
ツバキの実は、9月下旬~11月下旬ころになります。最初は緑色をしていますが、熟すに従い赤褐色に変わっていきます。さらに実が熟すと割れてきて、大きな種が中から飛び出してくるのが特徴です。

樹高

ツバキの樹高や、1~6m程度で、種類によって低木から高木まであります。生垣にすることもできるので、狭い庭でも育てやすいでしょう。

種類

ツバキ
ツバキの花が楽しまれるようになったのは、安土桃山時代からです。その後、江戸時代になってから品種改良がおこなわれるようになりました。

戦後日本でツバキを見かけた人たちが国に持ち帰り、アメリカでもツバキの品種改良がおこなわれました。そのため海外から入ってきた派手な花が咲くツバキもあります。

ヤブツバキ

常緑高木で5~6mの樹高に育ちます。青森県以南の各地に自生する品種で、花は赤で一重が基本です。ほかにも淡紅色や白色の品種もつくられました。花径は5~10cmで、浅いカップ形に咲きます。

ユキツバキ

日本海側の山地に自生する品種です。常緑低木で樹高は1~2mのため、狭い庭にも向きます。花は小さく一重で、一般的に色は赤です。ほかにも白色や八重咲などの品種もつくられました。「乙女」「弁天」「荒獅子」などの品種があります。

ワビスケ

半開きの花が咲くタイプで、花は一重です。茶庭や茶花としてよく用いられています。花色は白、赤、ピンクなどです。「白侘助」などの品種があります。ワビスケはヤブツバキと他品種の交配だと考えられているもので、素朴な雰囲気が茶人に人気です。

リンゴツバキ

屋久島などに自生する品種です。実は径5~10cmと大きくなり、赤く熟すのでリンゴに似ています。

トウツバキ

中国雲南省に自生する品種です。花が大きく、牡丹咲や八重咲の品種があります。海外で多くの品種改良がおこなわれました。

サザンカ

サザンカもツバキの仲間で、常緑小高木です。山口県以南の山地に自生しています。花は白色で、枝先に径5~8cmの花を咲かせます。

ヒメツバキ

イジュ
ヒメツバキやイジュは、奄美から沖縄に自生する品種です。暖地で育つ品種で寒さに弱いため、鉢植えで管理するのに向いています。

イジュの花は、黄白色の花と、中心の黄色のしべが特徴です。

保湿性のある土と、冬の冷たい風が当たらない場所を選んで植え付けます。土には堆肥や腐葉土を混ぜ込みましょう。肥料は2月と8月の2回で、油粕と化成肥料を混ぜ合わせます。

ツバキ(椿)の基礎知識

ツバキ

ツバキ(椿)の花言葉は?

ツバキの花言葉は、「控えめなすばらしさ」「気取らない優美さ」などです。

ツバキは強剪定できる?

ツバキを生垣のように強剪定する場合は、芽吹く力が強い品種が向いています。「乙女」は生育旺盛な品種のため、生垣におすすめです。一般的に椿は自然樹形を活かして育てるため、生垣に用いる以外で強剪定しません。

ツバキと山茶花の違いとは?

ツバキ
ツバキと山茶花は花や葉の様子が似ています。どちらも「ツバキ科ツバキ属」の植物のため区別が付けにくいでしょう。

サザンカのページでも紹介しましたが、2つの品種は次のような違いがあります。

サザンカ

  • 秋咲き性
  • 原種の花色は白~淡紅色
  • 花が平らでバラバラに散る
  • 花に香りがある
  • 若い葉の裏に毛がある

ツバキ

  • 花は12月~翌4月に咲く
  • 花は首から落ちる
  • 花が立体的で厚みがある
  • 葉の裏に毛がない

ツバキは首から花が落ちるように散るため、縁起が悪い花だともいわれていました。また、サザンカに香りはありますが、ツバキで香りがあるものは少ないです。ツバキと山茶花は2つの品種がまじりあっているものもあるため、区別がつかない品種もあります。

ツバキの寿命は?

岩手県には「三面椿」という樹齢1400年ともいわれる、日本最古のツバキの木が残っています。ツバキは成長がゆっくりで、大切にすれば長生きすることができます。

ツバキの花が咲かないのは?

ツバキの花が咲かないのは、剪定時期を間違ってしまった可能性があります。剪定は花が咲いて花芽が付く前におこなうようにしましょう。自然樹形を活かすようにして無理な剪定をしなければ、花芽を切ってしまう心配がありません。

また、ツバキを乾きやすい場所で長年育てていると、根詰まりをおこします。根詰まりすると蕾が落ちやすいので注意が必要です。若木のうちに枝が伸びすぎても、花つきが悪くなります。

ツバキ(椿)の育て方

ツバキ
ツバキは-13度程度までなら栽培が可能で耐寒性がありますが、乾いた寒さには弱いため注意が必要です。北海道でも札幌市なら公園に植えられていることがあります。積雪がある地域で、冬季に雪に覆われるようであれば栽培は可能です。

トウツバキは最低気温3度までで、寒冷地で育てることはできません。

植え付けるのに適しているのは、水はけのよい場所です。西日が当たらず、半日陰の場所で育てましょう。土質は選びません。

剪定

ツバキの剪定は、混みあった枝を取り除く程度にします。剪定時期は庭木なら4月下旬~6月上旬まで、生垣なら5月上旬~6月中旬までです。内部の枝で、立枝やさかさ枝を切りとり、ひこばえも取り除きます。

花芽は今年伸びた新しい枝の先につくので、切りとらないようにしましょう。早咲きの品種なら6月下旬から花芽ができはじめます。

ツバキを生垣にする場合は、花が咲いてから強い刈り込みをします。その後は樹形から飛び出した枝を、こまめに切りとるようにしましょう。

害虫や病気

ツバキは、チャドクガがつきやすいです。チャドクガは抜け殻に触れただけでもかぶれるので、剪定の際に触れないよう注意しましょう。4月~5月と7月~8月に葉裏に幼虫がつくのでわかります。

チャドクガを見つけたら、枝ごと切り取って、ビニール袋に入れて処分します。

肥料

ツバキ
ツバキの肥料は、5月と9月の2回に分けて与えます。株の周りを放射状に掘って、完熟堆肥などを混ぜ込むと、春に新しい細根が出やすいです。

増やし方

椿は、挿し木、接ぎ木、種まきで増やすことができます。接ぎ木はその年に伸びた枝を切りとり、土にさして根を出させます。種は木から落ちたものは乾燥して発芽率が悪くなるので、実から取り出して土に植えましょう。

移植や植え替え

椿を移植する場合は、4月~6月か、9月が適期です。春に移植するのが無難です。

ツバキ(椿)の入手方法

ツバキ

値段

ツバキのポット苗は、1,000円くらいから売られています。

販売先

ツバキの販売先は、近くのホームセンターや園芸店です。しかし、ツバキは多くの品種があるので、入手しにくい品種があるなら、ネットショップを活用しましょう。

苗木

ツバキの苗木を手に入れたら、4月または9月~10月に植え付けします。

ツバキ(椿)のQ&A

ツバキの生け垣を作りたいのですが・・・

家の庭の周囲、特に南がわに、ツバキの生け垣を作りたいと思っています。長さはおよそ12メートルです。過去の質問などを見ると、サザンカの方が葉っぱが小さく枝分かれが細かなので良いとの指摘もありましたが、私はツバキでやろうかと思っています。
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ツバキの病気を治せますか?植えて30年以上・・・

植えて30年以上の庭のツバキが急に落葉しはじめました。葉は黄色と茶色の大きなマダラ模様になってきています。虫食いはいくつかありましたが虫は発見できません。まだ救えますか?
ツバキの病気を治せますか?植えて30年以上・・・の詳細

我が家のツバキはつぼみが多くできたのですが・・・

我が家のツバキはつぼみが多くできたのですが、咲き始めると枯れて落ちます、どうすればよろしいでしょうか?赤いツバキの花です。
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ツバキの剪定時期はいつですか?・・・

うちの庭に何本かツバキが生えていて、その半分は見ごろを迎えていますが、残りの半分は今頃つぼみがふっくらしてきて、3月下旬から4月に入ったくらいに咲きそうな感じです。
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ツバキ・サザンカが庭にあります。チャドクガに・・・

チャドクガに昔さされた事があるので予防したいのですが、農薬・剪定のコツを教えて下さい
ツバキ・サザンカが庭にあります。チャドクガに・・・の詳細

まとめ

ツバキは花の美しさから、日本人に親しまれてきました。花色や形も豊富なため、好みの品種を選ぶ楽しみもあります。丈夫な木で幅広い地域で栽培が可能なので、庭木に華やかな花木を植えたい方におすすめです。